2009年12月

 午前10時40分、同愛記念病院に行き、あらかじめ尿を提出して泌尿器科へ。1時間以上待たされてから女医さんの診察があり、先週撮ったCTを見て、やはりソケイヘルニアであるらしいとの紹介状を持たされ外科に回される。ここでも1時間ほど待たされる。外科の医師の診察を受け、マタグラを素手でまさぐられ手術が必要だと告げられる。

 その後、指示通り入院検査のための採血、胸部と腹部のレントゲンを撮ってから再び外科へ戻る。ほどなく処置室に呼ばれ、入院の案内や注意事項、手続きの仕方の指示を受け会計へ。4300円ほど。時計はすでに2時半を廻っていたが、腹が空きすぎて空腹感はない。

 きょうの結果、入院は2月2日、手術は3日と決まった。5日から7日ほどの入院らしい。1月の末にまとまった金が入るのでアタシとしては大助かりだ。それに1月は独演会やらサンライズ寄席やらしらこ落語会、南砂寄席など大きな会が目白押しなのだ。心置きなく仕事をして入院に備えたいと思う。

 10日ほど前から下腹部(というよりロセンの上)に違和感をおぼえていたのだが、熊本に行っている最中にどうやら左の部分が腫れているのに気がついた。これはもしかすると嫌な病気ではないかと思い、自転車で同愛記念病院へ行って来た。以前、膝の半月板損傷でお世話になって以来である。

 まずは採血室で尿を採り、泌尿器科へ。意外にも女医さんである。「下腹部というのはお腹ですかと」訊くので、「いえ、もっと下です」と答えると、看護師さんから「穿いているものを全部足首まで下げてベッドに横になって下さい」と言われ、ベッドに横になる。何とも情けない格好である。

 先生が触ってきたが、腫れが分からないらしく、今度は立ってその部分を触る。「ソケイヘルニアですね」と言って、次に玉に触って「玉の方は大丈夫ですね」とうれしいことをおっしゃる。しかし、ヘルニアは手術しか手がないと言う。近々入院するしかない。CT撮影の日と再び泌尿器科をたずねる日を予約して部屋を出る。

 その後、採血室に戻り、採血してもらったが、アタシは血管が出にくいんだが、ここの看護師さんはホントにうまい。1発OKである。初診料を含めて3800円ほど。ああ、また入院か。でも日帰りの手術もあるそうだから、数日で退院出来そうだ。それだけが唯一の救いである。

 いやあ、実に過酷な旅だった。16日から18日までの3日間、熊本の益城町という所の小学校を5校廻ってきた。益城中央小、広安西小、飯野小、広安小、津森小の5、6年生10クラスである。不思議なのは6年生3クラスを一同に集めて公演すれば1回で済むのに1クラスずつ廻るのである。

 しかし、少数ずつを対象に演ずるのが今回の狙いらしい。まあ、アタシの方はその分ギャラが多くなるからありがたいんだが、喜んでばかりはいられない。というのも初日は熊本に移動後まもなくの2公演だったが、休み時間が5分しかない。1コマ45分で5分の休憩で90分しゃべりっぱなしはつらい。

 そして、2日目、3日目は午前中3コマで休憩が10分、午後1コマという設定。正直、声が続くのか不安だらけだった。だから龍角散が手放せない。でも何とかやれたので却って自信にはなった。企画してくれた町役場のY氏と広告代理店のA社に感謝である。Y氏は東洋大の後輩で、今回アタシを強く押して下さったようだ。Yさん、あなたは偉い。

 夜の宴会は初日が菅乃屋さんという馬肉料理のフルコース。馬肉のしゃぶしゃぶがウマかった。2日目は先日の「はやぶさ五人衆」にわざわざ熊本から駆けつけて下さった、初対面の不動産屋のU氏とそのお仲間のI氏とT氏。菊陽町の花つくしという風情のある炭火焼の店だったが、妙に落語に詳しいI氏からの質問攻めには面食らった。

 3日目は鮨屋だったが、ここでは馬刺しのにぎりをいただく。結構なお味である。その後、Y氏とかつて一世を風靡したピンク女優の谷ナオミさんの店へ。へえー、こんなとこにいらっしゃったんですねェ。でも、お元気で何よりです。

 そして、19日の最終日には益城町文化会館での三遊亭歌之助との二人会。超満員の入りで、歌之助を間に挟んで「環境落語」と「火事息子」の二席でお開き。とにもかくにも無事に済んで良かった。ホントいい旅でした。還暦を去年迎えたオジサンに試練を与えて下さった皆様方に心からお礼を申し上げたい。

 

 5日、第4回「はやぶさ五人衆」の会が無事終わった。今回の出し物は「駒長」立川龍志、「七段目」入船亭扇遊、「富久」金原亭馬生、「阿武松」柳家〆治、「芝浜」林家時蔵である。特に後半の三席はいわゆる大ネタで、お客さんもさぞかし疲れたであろう。

 今回も国立演芸場だったが、楽屋では9月に盗撮をして逮捕されたアタシの一門のSの処分が決まり、その内容についていろんな意見が出た。処分内容は『役員などの降格と寄席出演など落語協会員の有する資格の停止(11月19日より1年間)』というもの。いわく、1年間は長すぎるとか、そのくらいはしょうがねえとか、見せしめだろうとか。

 あげくの果て、自分たちが万引きした自慢話?やせがれが万引きして警察にもらい下げに行って謝ったことなど、みんなそれぞれ過去に悪事を働いたこのメンバーの話が出るわ、出るわ。尤も、この会の前身の名前が「白浪五人会」だからしょうがない。

 アタシの「芝浜」は初演なので、とにかく筋を追うのが精一杯で、お客さんの反応を楽しむどころではなかった。出来は100点満点で58点といったところ(60点が合格点)。しかし、実によく出来た話で、いろいろ手入れや工夫もしたつもりだが、まだまだ演出の余地のある、生涯を通してやりがいのある噺になりそうだ。だけどホントにこの噺は疲れる。

 打ち上げは近くの中華料理店でお旦(スポンサー)のAさんと演者と受付をしたカミサン連中で大いに盛り上がった。しかし、二次会はなし。みんなベロベロになって、マジの言い争いになるからである。これだけはこの会で学習した、唯一の成果である。

 パソコンが壊れてブログが書けませんでした。それでも、その間、多くの方々が覗いて下さったようでありがたい限りです。現在、5日の「はやぶさ五人衆」に向けての稽古中で頭の中がぐちゃぐちゃになっておりますので、落ち着きましたら、また書かせていただきます。
 まずはお礼を申し上げ、後日の再開をお待ち下さいますようお願い申し上げます。
 

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